1Dsは“高輝度側・階調優先機能”付き!?
いやいやそんなモノ必要ありません。

最近のEOSデジタルには“高輝度側・階調優先機能”というのが付いている。他社も同様の機能の付いたものが当たり前になってきたみたいだ。要するに白飛びし易いハイライトを1EV程低い感度で記録し撮影時のものに滑らかに継ぎ足そうというものらしい。この機能でダイナミックレンジが広がるのであれば、まあ一般的にはありがたく思う訳でして、屋外晴天の風景やポートレートでは使いたいですな。いやはや便利になりましたね。。なんて私は全然思わないんです。
よく考えると(考えなくても)撮像素子の感度というものは一定でISOを換えられる、というのは計算でゲインをコントロールしてる訳でして、、何か変な感じ。CANONの場合は最低感度が200に制限される(nikonの最近のも、元々だが200)のとノイズが増えるみたいだ。
5Dから1Dsに換えて、絵に関して感じるのは、全体に色分離が良くダイナミックレジが広い事。明かに5Dよりハイライト・シャドーぎりぎりまで発色が良い。これは私が最近少し目覚めた簡単HDRの写真を見ていただければお解かり頂けると思うが、1枚の画像からこれが可能というのはダイナミックレンジが広い事を意味する。

―で、ちょっと実験。左の画像はISO-200の適正露出、ハイライトがぎりぎり飛ぶか飛ばないか、というもの。真ん中はDPPのRAW現像時に-1EVにし、DPP上トーンカーブで階調を整えたもの。右はISO-100でISO-200の左の画像と同じ露出。要するに“適”の-1EVアンダーで撮ったものをトーンカーブで整えたものだ。

■ 共通テスト条件
レンズ/EF70-200 F4L IS @111mm F11 1/250sec
DPP2.2.2、ニュートラル、彩度+2、シャープネス5

1SO-200適正露出(トーンカーブ無し)

-1EVで現像(トーンカーブ適用)

左と同じSS・F値でISO-100(1EVアンダー)
(トーンカーブ適用)

ピクセル等倍(4368×2912 px)

ピクセル等倍(4064×2074 px)

ピクセル等倍(4064×2074 px)

1Dsはこの程度なら、DPPのマイナス現像でもアンダーでの撮影でも、白い壁(サイディングの継ぎ目)や空の描写はかなり改善出来る。しかもこの改善幅は実感として5Dより明かに広い。
-1EVで現像の画像ではハイライトが改善しているだけでなく、シャドー域のノイズもオリジナルの左と変化は見られない。-1EVアンダーISO-100の画像はシャドーの最も暗い部分のみにノイズが増えている。しかし全体として1Dsのダイナミックレンジが広い事は十分お解かり頂けたと思う。ちなみにここでは掲載していないが、-1.33EVにもトーンカーブを施せば-1EVアンダーの画像とほぼ遜色の無い結果を得られた事を付け加えておく。そこそこのHDRが1枚の画像から作成できるのも納得できる。
現行機種(EOS-D)の“高輝度側・階調優先機能”を使ったレビューをweb上で見たが、メーカーが言う通りシャドー部のノイズは増えている。このテスト画像と最近のHDRスナップを見ても判るように、1Dsのダイナミックレンジは最近の機種の“高輝度側・階調優先機能”を使った時より明かに広い。

ま、何が言えるかというと、いろんな突っ込みがあって、ダイナミックレンジが広がった様に見せるためには最低感度がISO-200になるしノイズも増える。しかもこの状態は原理的に感度が一定である撮像素子からの演算で作ったもの。じゃなぜISO-200を最低基準感度にしないんだー。「いやシャドーにノイズが増えるからあくまで基準は100、うちはノイズが少ないんだよ」それじゃレンジが狭いんだろ!「そういう時は“高輝度側・階調優先機能”をご用意しました」。

んで、結局何が言えるかは貴方のご判断で。

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