簡単!モニタ合わせ

デジタル画像を云々する前にまずモニタがきちんと発色しているかを確かめなくてはならない。本来は測色機+キャリブソフトがあった方がいいに決まっている。モニタ合わせだけでなくプリンタプロファイルも作れる便利なやつが発売されている。これはぜひ手に入れるべきだ。
と思ったが、ちょっと待った。私は過去にも数々噂と宣伝文句につられて多額の投資をし全然回収できずにまた次のもの、という機械好きでもある。しかしさすがにこの不況、無駄な経費は避けたいものだ。
この測色機というのは機械のセンサーが色や輝度を計り数値化する。そしてプロファイルを作成しMACの場合Colorsyncを通してモニタや各ソフトの表示を制御する優れものらしい。しかし近頃私は機械(特に光学系)を信用していない。だって希望小売価格31万円のS2でさえホワイトバランスをよくはずす。カスタムで何度も取っても誤差は結構ある。もっと高い機種でも基本的に外す。
今話題のヤツなのだが、確かに何もしないよりは格段に良くなる。しかしあの価格でどこまで厳密にキャリブできるのかはいささか疑問である。いい話も多く聞くが悪い話も聞く。取る度に微妙に違う、ソフトをバージョンアップしたら、えらく色が違う、今まで何だったんだ!という話も聞く。

という訳で下の絵を見ていただきたい。お馴染みのグレーチャートなのだがちょっと違う。撮影したものではなくデータで作成したものだ。

アドビガンマなどでモニタを合わせた後、再度このチャートを横にみながら、ガンマを開けニュートラルグレーに見えているか確認してください。また標準的なCRTモニタのガンマ値は2.2と言われていますが、モニタの個体差で必ずしもそうとは言えません。例えば上のチャートの18と19、またAと1の区別がつかない場合はガンマ値が高すぎる事が考えられますので、ガンマ値を少し下げて調整してみてください。それでも区別がつかない場合、ご使用のモニタは画像調整には適していないと考えられます。(03.10.20追記)

キャリブレーションというのは、現実にあるものを撮影しその通りに数値化された場合、その通り(もちろん近似に)モニタに映しているかという事で、例えば印刷仕上がりなどをチェックする時、従来のポジの場合は肉眼でポジと仕上がりを見比べるが、デジタルデータの場合はモニタと比べるしか方法がない。しかしモニタが狂っていれば、比べる基準がないのでデータが悪いのか印刷が悪いのかが判断できない。カメラも撮影したものをそのまま数値には出来ない。そこでグレーチャートをデータで作成してみるというのを思いついた訳である。これなら現実に見ているものをとりあえず正確に数値化する事ができる。
一番左がRGB000右が255.255.255である。これを19段階に均等に割って配した。しかし実際は目の特性や光の加減、反射などでこうは見えない。という事で商品撮影などで私が普段使用している白RGB248、黒RGB17、Mの部分のグレーRGB150(画像によって実際はかなり上下する)に補正してみた。下の画像だ。

本物よりも正確なグレーチャートである。要するにこの画像のグレーに偏りが無く、尚且つ日中光色温度の照明下で見た本物のチャートと同じようにリアルに見えていればいい訳である。とりあえず先にAdobeガンマなどである程度のキャリブは済ませておいてからですが。(私の古〜いトリニトロンの設定ガンマ値は2.2)

ちなみに下はご存知の本物を撮影し通常の補正を加えたものだ。(本来こっちで合わすべきだがほとんどいっしょ)

モニタは透過光、印刷物は反射光で尚且つ再現色域が異なるので、本来厳密に両者が合うはずはない。ほぼ合っていればいいと思う。私のプロファイルを運用してくれる印刷会社の仕上がりを何回も見た結果、今のところこの方法でOKである。測色機もちゃんと試すべきなのだが、まずカメラマンは自分の目を信用してほしい。実際キャリアのあるカメラマンは凄い感覚を持っている。私のみたいなナンチャッテカメランにはまだまだ及ばない繊細な目を持っているはずだ。

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